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研究内容

*主な研究内容*
 構造化学研究室では、いろいろな分子の構造と機能の相関について研究し、物質物性の本質本質の解明と社会に役立つ機能的な物質の創成を目指しています。

*研究テーマ*
T.内殻準位励起後の原子サイトに特有な解離反応の研究
U.深い内殻電子励起ダイナミクスを解明するための
   汎用型コインシデンス分光装置の開発
V.半導体表面・界面の局所化電子状態の研究
W.光触媒表面上で起こる新しい光化学反応の探索
X.活性酸素・フリーラジカルによる生体酸化と天然の抗酸化剤によるその防御
Y.分子内に水素結合を持つ化合物の分子内水素移動反応の電子状態依存性

研究テーマ

T. 内殻準位励起後の原子サイトに特有な解離反応の研究

1辺10cmの正方形の紙の1つの頂点から1辺1cmの正方形を切り取るにはナイフが用いられます。ところが、対象が小さくなって分子や分子集団になると、現状ではナイフに相当する便利な手段がありません。分子に高エネルギーのシンクロトロン放射光(X線)を照射すると、化学結合に関与していない局在した内閣の電子が励起され、その内殻電子がもともと所在する原子サイトの周りで局在した化学反応を起こすことができます。この方法で、分子の新しい合成手法と超微細表面加工技術である“分子用のナイフ”の開発を目指した研究を行っています。この実験は、播磨科学公園都市の高輝度光科学研究センター(SPring-8)やつくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK) Photon Factory等の世界最先端の最新鋭設備を利用して行っています。


U. 深い内殻電子励起ダイナミクスを解明するための汎用型コインシデンス分光装置の開発

原子や分子中の電子は、特定の原子近傍に局在する内殻電子と非局在化した価電子に分類することができます。高エネルギーのX線や電子線を用いて内殻電子の励起を行うと、フェムト秒(10-15s)スケール内に、1)電子放出(光電子・オージェ電子)、2)多価イオン状態の形成、3)イオン解離、が連続して起こります。この一連の反応素過程を研究するためには、これらの過程でほぼ同時に放出される電子やイオンなどの荷電粒子を2つ以上同時に検出し、その関係を結びつけることができるコインシデンス分光法(Coincidence spectroscopy)が最適です。構造化学研究室では、独自の小型汎用型コインシデンス分光装置を開発することで、内殻電子励起の新しい研究分野を切り開き、様々な研究分野でのブレークスルーを引き起こすことを目指しています。


V. 半導体表面・界面の局所化電子状態の研究

集積回路の小型化・容量化が進むに従って、半導体素子の微細化・超薄膜化の要求はさらに高まっています。極小化・薄膜化が進んだ試料の化学状態は、私たちが住むマクロな世界で通用している古典的な考え方では説明できず、量子化学的取り扱いが必要となります。構造化学研究室では、半導体基盤に使用されているシリコン単結晶上に数原子層程度(<10Å)の超薄膜を作製し、局所的な価電子状態を薄膜表面、基盤、両者の界面を選別して測定することで、超薄膜特有の量子効果を検討しています。超薄膜試料・界面の価電子情報を特異的に選択した実験に成功したのは、私たちの研究グループが世界的に初めてで、今後の発展が期待できます。この実験は、高エネルギー加速器研究機構(KEK) Photon Factoryで行っています。


W.光触媒表面上で起こる新しい光化学反応の探索

近年注目を集めている「光触媒」効果は、本多・らにより発見された二酸化チタン(TiO2)表面への紫外線照射に伴う水の分解反応に端を発しており、クリーンエネルギーとしても期待されています。また、TiO2などの光触媒は、環境汚染物質の分解、公共・医療施設での殺菌・消臭、光励起超親水性を利用したセルフクリーンシステムなどに実用化されています。構造化学研究室では、光触媒に高エネルギーのX線や電子線を照射したときに起こる反応を詳細に研究し、光触媒表面上で起こる未解明な現象・効果を探索する計画を立てています。X線や電子線による深い内殻電子の励起は、これまでの紫外線による価電子の励起より、高効率で特殊な光化学反応を誘起できると期待しています。


X.活性酸素・フリーラジカルによる生体酸化と天然の抗酸化剤によるその防御

 生物の体に含まれている酸化を抑制する物質(天然抗酸化剤)が、生体中で生じた活性酸素・フリーラジカルをどのように消去するのかを調べることで、活性酸素・フリーラジカルが原因として起こる老化・ガン等の病気に対する生体の防御機構や食品の劣化抑制法について研究しています。また、生体での抗酸化反応の過程での量子論的な作用(トンネル効果)が果たす役割についても調べています。生体中の物質への光照射により引き起こされる反応についてレーザー光を用いた時間分解測定法で調べることにより、生体の光防御や光エネルギー利用の本質に迫ろうとしています。



Y.分子内に水素結合を持つ化合物の分子内水素移動反応の電子状態依存性

 プロトン移動は最も単純な化学反応なので、正確な測定や理論的解析に適しています。植物のアロエに含まれるアロエサポナリンのように分子内に水素結合を持つ分子に光を照射すると、分子内プロトン移動反応が起こります。励起状態の波動関数の節を考慮するとこのプロトン移動反応が起こるかどうか予測できると考えられています。このような分子内水素結合を持つ分子について置換基効果・溶媒効果などからその本質を研究し、新しい記憶材料や高性能な紫外線吸収剤の開発に役立てたいと考えています。


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