無機化学研究室


研究領域 
無機化学は、炭素-炭素結合を基礎とした有機化合物を除く、周期表の全ての元素の化学が研究対象となります。
そのルーツは中世ヨーロッパの錬金術に辿ることができ、近年は、生体無機物などの有機無機複合化・相互作用といった様々な境界領域も取り込んで研究領域が日々拡大しています。

 我々の研究室では、こうした無機化学分野の中で典型的な無機化合物である典型元素の酸化物を主要な研究対象とし、溶液からの多孔質酸化物の作製とその機能設計を中心とした研究を行っています。
溶液中での酸化物前駆体の反応や固相反応を制御することで、多孔体の空間構造を制御し、様々な機能を引き出し、触媒や吸着・分離といった分野に展開していくことを研究の柱とし、平行して反応メカニズムの解明や機能評価法の開発も進めています。

現在取り組んでいる主要な研究テーマ

1.酸化ケイ素系多孔体の構造設計 ケイ酸ナトリウム溶液のゲル化過程を制御することで、細孔構造が階層的に制御された二元細孔シリカを作製し、固体触媒や吸着剤としての応用を検討しています。この手法については、アメリカの特許も取得しており、企業と共同で実用化を視野に入れた研究を進めています。

2.結晶性多孔体の構造設計 ゼオライトなどのナノメートルよりも小さいミクロ孔を有する結晶の空間構造を制御して、より大きなナノメートルサイズの細孔やマイクロメートルサイズの細孔が階層的に配列した多孔体を作製しています。

3.キャピラリーを利用したマイクロリアクターの作製 ガラス毛細管(キャピラリー)内に導入した溶液中の無機成分の反応を制御して、キャピラリー内壁に均一に多孔体の層を形成し、表面の構造修飾によって様々な機能を引き出し、分離カラムや固体触媒反応への応用を進めています。

4.無機塩の粒子形態制御・メカニズムの解明 無機塩(特に希土類塩)の粒子形態が棒状、板状などになる理由をその結晶構造から粒子成長メカニズムを推測し解明しています。また、研究の過程で発見された新たな結晶構造について解析を進めています。

5.作製した無機物の固体触媒としての評価 作製した多孔体などを触媒としてアルコール、カルボン酸などから有用化合物へ変換する反応をおこない、固体触媒としての活性の評価を進めています。

参考資料
2006年9月大阪で開催されたBioJapan出展ポスター
2007年2月東京で開催されたNanoTechJAPAN出展ポスター
2005年秋の触媒討論会で発表したポスター
2016年3月東京で開催された日本セラミックス協会で発表したポスター(論文化されていない部分を削除)
2019年3月大阪で開催された触媒討論会で発表したポスター(2022年6月Journal of Sol-Gel Science and Technology掲載決定済み)

オープンアクセスの学術論文(英語)
Preparation of bimodal porous alumina using propylene glycol oligomers
Changes in crystal phases and morphologies of rare earth hydroxide nitrates with ionic radius
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