Ehime University
Yamamoto Lab.

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非磁性をスピン液体に変える(キラル分子の間接効果による磁性の発現)

 開殻分子の電子スピンは磁性の源ですが、電子スピンが一次元のように配置されると、隣接した電子スピンによる磁場同士が打ち消し合って、磁性を示さなくなります(非磁性)。我々は、開殻分子(ラジカル陽イオン)が一次元的に並ぶシート構造と、閉殻で磁性を示さないキラル分子(陰イオン)からなるシート構造を、交互に積み重ねた物質を作成しました。本来は非磁性になるはずの物質が、あたかもスピン液体のように振る舞い、極低温でも維持されることを見出しました。

掲載誌 : Journal of American Chemical Society
DOI : 10.1021/jacs.4c12386
題名 : 2D Quantum Spin-Liquid Candidate Including a Chiral Anion: κ-(BEDT-TTF)2[BR/S(salicylate)2]
(日本語訳)キラル陰イオンを導入した二次元スピン液体の候補物質:κ-(BEDT-TTF)2[BR/S(salicylate)2]
著者 : Toby J. Blundell, Kathryn Sneade, Joseph O. Ogar, Satoshi Yamashita, Hiroki Akutsu, Yasuhiro Nakazawa, Takashi Yamamoto and Lee Martin