複合体化学:

Inorganic-Organic Hybrid Chemistry

研究テーマ

並べて,叩く

キラルな金属錯体をつなげ、集め、並べて、たたく

金属錯体は有機物の配位子と金属イオンとの両方の性質により、それら単独ではできないような働きを示します。最近では、金属錯体のこのような特色をさらに発揮させるためにいくつかの錯体を連結させる試みが盛んです。単一の錯体分子では達成できないようなより複雑な分子機能(分子センシング立体選択的鋳型反応、分子構造変換光メモリなど)を行わせようとするものです。金属錯体を連結したり、規則的に並べたりすることによって一つの分子では見られないような性質が新たに現れる可能性は無いでしょうか。
複合体化学研究室ではこのような考えから、特にキラルな多核金属錯体に着目して、それらの合成、構造解析、機能発現に関する研究を行っています。また、機能性分子集合体として、低分子量ゲル化剤を用いた有機ゲル、無機層状化合物の研究も行っています。

本研究室でのテーマは、”キラリティ”を軸として、大きく分けて次の4つです。
 “金属錯体を用いたキラルテクトニクスの創成”
 “低分子量ゲル化剤による有機ゲル”
 “無機キラリティの創成”
 “クレイエレクトロニクスの創成”
research

卒業研究テーマの例。

卒業研究テーマ(2011年度,2012年度の例)

1. 多核錯体におけるキラル構造の制御:キラルテクトニクスの創成

H. Sato et al., Dalton Transactions, pp. 1283-1285 (Communication) (2008)
H. Sato et al., Dalton Transactions, (2012) 41, 1709 : Hot article

品川友志 平面型パラジウム二核錯体における軸性キラリティの発現、モレキュラーキラリティ2013 京都大学 H25/5/10-11

Dalton Trans. 2013, 42, 7579.

2. 発光性金属錯体と粘土鉱物とのハイブリッドLB膜による気体センシング

H. Sato, et al., Chemistry Letters, 38, pp.14-15 (2009)
H. Sato, et al., New Journal of Chemistry, 35, pp. 394-399 (2011)
 (長岡教授,小原准教授との共同研究)
中谷 康彦(B4):第55回粘土科学討論会発表(鹿児島大)(2011/9)

3. パーフルオロ基を有する低分子量ゲル化剤を用いたゲル化機構の解析

H. Sato, et al., Inorganic Chemistry, 46, pp. 6755-6766 (2007)
H. Sato, et al., Chemical Communication, 47, pp. 3736-3738 (2011) : Back coverに採用(2011年)
河野 和宏(B4):第35回フッ素化学討論会発表(岡山大)(2011/9)

K.Koho et al., Chem.Commun. 48, 3860 (2012)


これらのテーマはそれぞれ目指すところは違いますが、実際にやることは以下のように共通しています。

(1) 新しい錯体、有機ゲル、新規層状無機化合物を合成する。
(2) いろいろな方法(UV-vis、CD、VCD、蛍光分光法、X 線構造解析など)を用いて溶液や結晶状態、膜状態での構造を決定する。
(3) それらの物質の働き(光応答、酸化還元、配位構造変化等)を調べる。

このようなことに興味がある人を歓迎します。